相続手続きでは、亡くなった方の預貯金、不動産、株式などの財産を確認します。
その一方で、財産とは別に、家族間のお金の立替えが問題になることがあります。
特に多いのが、親の入院費や施設費を、子どもの一人が立て替えていたケースです。
「自分が払っていた分は、相続財産から返してもらえるのか」
「他の相続人にも負担してもらえるのか」
「遺産分割協議書に書くべきなのか」
前編では、親の入院費や施設費を子どもが立て替えていた場合に、まず整理したい基本をお伝えします。
■まず「誰のための支払いか」を確認する
入院費や施設費を子どもが支払っていた場合、まず確認したいのは、その支払いが誰のためのものかという点です。
親本人の入院費、施設利用料、医療費、介護サービス費などであれば、本来は親本人が負担すべき費用と考えられることがあります。
その支払いを子どもが一時的に立て替えていたのであれば、子どもから親本人に対する立替金として整理する余地があります。
ただし、親子間では明確な契約書を作らずに支払っていることが多いです。
後から相続人間で説明できるように、支払いの内容を整理しておくことが大切です。
■支払時期を分けて考える
次に大切なのは、いつ支払った費用なのかを分けて考えることです。
親が亡くなる前に発生した入院費や施設費なのか。
亡くなった後に請求が来て、相続人の一人が支払ったものなのか。
この違いによって、整理の仕方が変わることがあります。
相続開始前の費用であれば、親本人の債務として残っていたものを子どもが立て替えた、という整理になることがあります。
一方で、相続開始後に発生した費用や、死亡後の精算金、施設の退去費用などは、相続財産の分け方とは別に、相続人間の費用精算として整理した方が分かりやすい場合があります。
■領収書や通帳の記録を残す
立替金を整理するときに重要になるのが、支払いを裏付ける資料です。
病院や施設の請求書。
領収書。
振込明細。
通帳の出金記録。
クレジットカードの利用明細。
こうした資料があると、いつ、誰が、何のために、いくら支払ったのかを確認できます。
資料がないまま「自分がかなり払っていた」と説明しても、他の相続人に伝わりにくいことがあります。
金額が大きい場合や長期間にわたる場合は、一覧表にすると、後の話し合いが進めやすくなります。
■前編まとめ
親の入院費や施設費を子どもが立て替えていた場合、まずはその支払いが親本人のためのものか、いつ発生した費用なのかを整理することが大切です。
相続開始前の費用か、相続開始後の費用かによって、遺産分割協議書に書くのか、別に精算表や確認書で整理するのかが変わることがあります。
請求書、領収書、振込記録、通帳の記録などを残しておくことで、他の相続人にも説明しやすくなります。
次回の中編では、立替金を相続人間で精算する場合に、どのような点でつまずきやすいのかを整理します。
■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること
・相続財産、債務、立替金の整理支援
・入院費、施設費、医療費等の精算内容整理
・相続人間の費用精算に関する書面作成支援
・遺産分割協議書作成支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・必要に応じた司法書士、税理士、弁護士等との連携