預貯金の相続手続きでは、金融機関から「相続届」や「相続手続依頼書」といった書類の提出を求められることがあります。
ご家族としては、
「この用紙を書けば手続きが進む」
「記入方法さえ分かれば大丈夫」
と思われるかもしれません。
もちろん、書類を正しく記入することは大切です。
しかし、実務では、相続届は単に空欄を埋めればよい書類ではありません。
前編では、金融機関の相続届で、書き方以上に確認が必要になる理由を整理します。
■誰が相続人なのかを確認する
相続届を書く前に、まず確認しなければならないのは、誰が相続人なのかという点です。
配偶者や子が相続人になる場合もあれば、子がいないため、親や兄弟姉妹が関係する場合もあります。
兄弟姉妹相続や代襲相続があると、戸籍収集の範囲が広がり、相続人の確認に時間がかかることがあります。
相続届には、相続人の氏名、住所、生年月日、続柄などを記入することが多いです。
そのため、戸籍や住民票などをもとに、誰を相続人として記載するのかを整理しておく必要があります。
■誰が受け取るのかを確認する
相続届では、解約した預金を誰が受け取るのかを記載することがあります。
相続人のうち一人が代表して受け取るのか。
相続人それぞれの口座に分けて振り込むのか。
遺産分割協議書の内容に沿って処理するのか。
金融機関によって扱いが異なることもあります。
ここを曖昧にしたまま書類を作ると、後から他の相続人への説明や、書類の修正が必要になることがあります。
また、預金を誰が受け取るかは、相続人間の合意内容とも関係します。書類上の受取人を決める前に、相続人全員の認識がそろっているかを確認しておくことが大切です。
相続届の記入は、単なる事務作業ではなく、相続人間でどのように預金を扱うのかという確認とつながっています。
■必要な添付書類も確認する
相続届だけを提出すれば手続きが完了するとは限りません。
多くの場合、戸籍一式、印鑑証明書、本人確認書類、通帳、キャッシュカード、遺産分割協議書など、追加の書類が必要になります。
また、金融機関ごとに書式や必要書類が異なることもあります。
同じ「預金の相続手続き」であっても、銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行などで確認事項が変わる場合があります。
書類を書き始める前に、その金融機関で何が必要かを確認しておくことが大切です。
提出前に、添付書類の期限、原本の要否、相続届への押印箇所なども確認しておくと、不備による差し戻しを防ぎやすくなります。
■前編まとめ
金融機関の相続届は、書き方だけを見れば単純に感じることがあります。
しかし実際には、誰が相続人なのか、誰が預金を受け取るのか、どの書類を添付するのかを確認してから作成する必要があります。
相続届は、記入欄を埋める書類というより、相続関係と手続き内容を金融機関に伝えるための書類です。
次回の中編では、金融機関の相続届で実際につまずきやすい記入箇所や確認事項についてお伝えします。
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