前編では、相続財産の金額が少なくても、相続手続きが簡単に終わるとは限らないとお伝えしました。
中編では、相続財産が少ないにもかかわらず、実務上、手続きが重くなりやすい場面を整理します。
■預金が少額でも戸籍は必要になる
相続財産が預金だけで、その金額も数万円程度という場合があります。
ご家族としては、「このくらいの金額なら、簡単に解約できるのでは」と思われるかもしれません。
しかし、金融機関としては、預金額が少ないからといって、相続人の確認を省略できるわけではありません。
亡くなった方の戸籍、相続人を確認する戸籍、相続人全員の同意、署名押印、印鑑証明書などが必要になることがあります。
少額の預金であっても、手続きの相手方から見れば、亡くなった方の財産であることに変わりはありません。
つまり、預金額が少ないことと、金融機関の相続手続きが簡単になることは別問題です。
■相続人が多いと説明の負担が増える
相続財産が少なくても、相続人が多い場合には、手続きの負担が大きくなります。
特に、兄弟姉妹相続や代襲相続がある場合、相続人の人数が増えやすくなります。
相続人が遠方に住んでいたり、長年連絡を取っていなかったりすると、書類を送るだけでも時間がかかります。
また、「少ない財産なのに、なぜ自分の印鑑証明書が必要なのか」と疑問を持たれることもあります。
金額が少ないからこそ、協力をお願いする側も説明しにくく感じることがあります。
そのため、誰が相続人なのか、なぜ協力が必要なのかを丁寧に説明することが大切です。
■不動産は金額だけでは判断できない
相続財産が古い家や土地だけ、という場合も注意が必要です。
評価額が低い不動産であっても、相続登記を行うには、誰が取得するのかを決める必要があります。
また、今後の管理、固定資産税の負担、売却の予定、空き家になる可能性なども整理しなければなりません。
金額としては大きく見えなくても、管理の負担が続く財産であれば、誰が引き受けるのかが重要になります。
特に空き家の場合は、名義変更後の管理や処分方針を決めないままにすると、次の世代に問題を先送りしてしまうこともあります。
不動産は、評価額だけではなく、今後どう扱うかまで考える必要があります。
■中編まとめ
相続財産が少ない場合でも、預貯金の解約、不動産の名義変更、相続人への説明など、必要な手続きは発生します。
特に、相続人が多い場合や、不動産が含まれる場合には、金額の大小とは別に手続きが重くなりやすいです。
相続では、「財産が少ないから簡単」と考えるのではなく、誰が相続人で、どの財産にどの手続きが必要なのかを確認することが大切です。
次回の後編では、相続財産が少ない場合でも手続きを遠回りさせないために、実務ではどのように整理して進めるべきかをお伝えします。
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