前編では、家族の認識と戸籍上確認される相続人の範囲は必ずしも一致せず、相続では「だいたい分かっている」ではなく、戸籍で客観的に確認できる状態にすることが大切だと整理しました。
では、実際にはどのような場面で、そのずれが生じやすいのでしょうか。
中編では、現場で多い典型例を整理します。
実務では、家族としては当然と思っていた前提が、戸籍を追うことで初めて揺らぐことがあります。
ご家族としては、今の配偶者との間の子どもだけを思い浮かべていても、被相続人に前婚のお子様がいれば、その方も相続人になります。
普段の交流が少ない場合、家族の認識から抜けやすい典型例です。
関係が疎遠であっても、法律上の相続人であることに変わりはありません。
戸籍を追うと、家族が強く意識していなかった養子縁組が出てくることがあります。
養子も、縁組の内容に応じて相続人になります。
日常生活では「親族として意識していなかった」としても、戸籍上は重要です。
特に昔の縁組は、現在の感覚では見落とされやすいことがあります。
被相続人に配偶者や子どもがいない場合、兄弟姉妹が相続人になることがあります。
このとき、兄弟姉妹の中にすでに亡くなっている方がいれば、その子どもが代襲相続人になることがあります。
家族の感覚では「兄弟はもう亡くなっている」と思っていても、それで終わりではない場合があります。
ここは特に、家族の感覚と法律上の整理がずれやすい場面です。
戸籍を出生までさかのぼることで、家族が把握していなかった認知、婚姻、離婚、養子縁組などが見えてくることがあります。
相続では、現在の家族関係だけでなく、戸籍上の経過全体を見る必要があります。
今の家族構成だけでは、相続人を確定できない理由がここにあります。
・前婚のお子様は交流の有無にかかわらず相続人になり得る
・養子縁組は家族の認識にないまま戸籍で判明することがある
・兄弟姉妹相続では代襲相続が関係することがある
・出生から死亡まで戸籍を追う中で別の事情が見えてくることがある
相続人が誰か分かっているつもりでも、戸籍を確認すると想定と違うことは珍しくありません。
次回の後編では、こうしたずれに振り回されにくくするために、実務でどのように戸籍確認を進めるべきかを整理していきます。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・遺産分割協議書作成支援
・金融機関、不動産手続に向けた必要書類整理
・必要に応じた司法書士、税理士等との連携