前編では、預貯金の解約や不動産の名義変更など、大きな手続きが終わっても、それが相続全体の終了とは限らず、その後に追加の手続きが出てくることは珍しくないと整理しました。
では、実際にはどのような“追加の手続き”が後から出やすいのでしょうか。
中編では、現場で多い典型例を整理します。
相続では、主要な手続きが終わった安心感がある分、その後の細かな対応ほど心理的に重く感じられやすいという特徴があります。
相続では、主要な金融機関の手続きが終わった後に、別の口座や少額の預金が見つかることがあります。
古い通帳、休眠状態に近い口座、普段あまり使っていなかった地方銀行や信用金庫などは、最初の調査段階で見えにくいことがあります。
金額が大きくないと
「これくらいなら後でよいか」
と思われがちですが、実際には解約や確認のために改めて手続きを要するため、心理的には意外と重く感じられます。
特に、主要な口座の解約が済んだ後だと、少額でも「また最初から確認するのか」という疲労感につながりやすくなります。
預貯金や不動産ほど目立たなくても、保険金、株式の配当、還付金、未収金などが後から判明することもあります。
こうしたものは、通帳や登記のように一覧で見えにくく、書類整理の途中や郵送物の確認から後で分かることがあります。
特に、本人しか把握していなかった契約や、毎年自動的に処理されていたものは、家族が存在自体を知らないこともあります。
不動産の名義変更や預金解約が済んでも、それで全てが終わるわけではないことがあります。
固定資産税関係の届出、各種会員契約、公共料金、保険契約の変更など、周辺の名義や届出が後に残ることがあります。
主要部分は終わっているだけに、こうした周辺手続きは見落とされやすいです。
しかも、生活に直結する契約ほど、後から気づくと早めの対応が必要になる場合があります。
家族の中では
「もう書類はそろった」
と思っていても、金融機関や役所、提出先から追加資料を求められることがあります。
記載の補足、別の証明書、戸籍の追加確認など、提出後に初めて必要になる資料もあります。
この場合、家族としては
「また動くのか」
という感覚になりやすく、負担感が強くなります。
提出前には十分に整えたつもりでも、提出先の確認基準までは完全に見通せないことがあるのです。
・後から別の口座や少額預金が見つかることがある
・保険、配当、未収金などが後から判明することもある
・主要な名義変更後にも周辺の届出が残ることがある
・提出先から追加資料を求められ、再対応になることがある
相続の“追加の手続き”は、特別な例外ではなく、実務では十分あり得るものです。
次回の後編では、こうした追加対応に振り回されにくくするために、実務でどのように備え、整理しておくべきかを見ていきます。
・相続財産調査、相続人調査
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・遺産分割協議書作成支援
・相続後に判明した追加財産や追加手続きの整理支援
・必要に応じた司法書士、税理士等との連携