相続手続きというと、まず
「戸籍を集めれば進む」
というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
たしかに、戸籍収集は相続手続きの基本です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどり、相続人を確定することは、預貯金の解約や不動産の名義変更の出発点になります。
しかし実務では、
「とにかく戸籍を集めれば終わる」
と思っていたのに、途中で手続きが止まってしまうことが少なくありません。
それは、戸籍そのものの取得が大変だからというより、戸籍を集めた先に、相続関係の整理や追加資料の確認が必要になるからです。
今回は前編として、戸籍を集めるだけのはずなのに、なぜ相続手続きが止まりやすいのか、その基本的な構図を整理します。
相続手続きでは、単に戸籍の枚数をそろえればよいわけではありません。
大切なのは、被相続人の出生から死亡までの身分関係が、戸籍の流れとしてきちんとつながって確認できることです。
途中で戸籍が抜けていたり、転籍や改製原戸籍の読み取りが不十分だったりすると、相続人の確定ができず、そこで手続きが止まります。
つまり、戸籍は“たくさん取ったか”ではなく、
“相続関係が連続して読めるか”
が重要なのです。
戸籍を集めて初めて分かるのが、相続人の範囲が当初の想定と違っていた、というケースです。
たとえば、前婚の子がいた、認知した子がいた、代襲相続が生じていた、兄弟相続だと思ったら先順位の相続人がいた、ということがあります。
この場合、最初に考えていた相続人だけで話を進めてしまうと、後からやり直しになります。
戸籍収集は、単なる資料集めではなく、相続の前提を確認し直す作業でもあるのです。
さらに実務では、戸籍がそろっても、それだけで全ての手続きに進めるとは限りません。
金融機関や法務局では、戸籍に加えて住民票、戸籍の附票、印鑑証明書、場合によっては事情説明の資料などが必要になることがあります。
また、海外居住者がいる、帰化した相続人がいる、数次相続が絡んでいるといった場合には、戸籍の先にある整理が必要になります。
そのため、
「戸籍は集まったのに進まない」
という事態が起こるのです。
・戸籍は集めることより、相続関係としてつながることが重要
・戸籍を見て初めて相続人の範囲が想定と違うと分かることがある
・戸籍がそろっても、追加資料や事情整理が必要な場面がある
・ 相続手続きは戸籍収集だけで完結するとは限らない
相続手続きが止まるのは、戸籍を取る作業そのものより、戸籍から見える相続関係が想定より複雑だったり、その先に必要な整理が残っていたりするからです。
次回の中編では、実際にどのような場面で戸籍収集後に手続きが止まりやすいのか、現場で多い典型例を整理していきます。
・戸籍収集など相続手続きの初動支援
・相続人調査、相続関係説明図の作成
・遺産分割協議書作成支援
・戸籍の読み解きと追加資料整理の支援
・必要に応じた司法書士、税理士等との連携