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    前編では、相続開始後の財産は相続人全体に関わる財産であり、遺産分割前に一部を使ってしまうと、たとえ必要な支出だったとしても、後から不信感や感情的対立につながりやすいことを整理しました。

    では、実際にはどのような支出が特に問題になりやすいのでしょうか。中編では、実務で火種になりやすい典型例を整理します。


    ■葬儀費用は必要でも、全てが当然に了解されるわけではない

    まずよくあるのが、葬儀費用として相続財産から支出したケースです。

    葬儀は多くの場合必要な支出ですが、問題になりやすいのは、その内容や金額に幅があることです。
    たとえば、一般的な葬儀費用なのか、香典返しや会食費をどこまで含めるのか、過度に高額な祭壇や接待費まで当然に認められるのか、といった点で認識が分かれることがあります。

    つまり、
    「葬儀費用だから問題ない」
    とは一概に言えず、何にいくら使ったのかが説明できることが大切です。


    ■生活費や家の維持費は境界があいまいになりやすい

    次に問題になりやすいのが、被相続人宅の光熱費、固定資産税、修繕費、あるいは同居家族の生活費に近い支出です。

    たとえば、空き家管理のための最低限の出費であれば必要性を説明しやすい場面があります。
    しかし、相続人の誰かが住み続けている家の光熱費や日常費まで相続財産から出していると、他の相続人からは
    「それは個人の生活費ではないか」
    と見られやすくなります。

    このように、家の維持と個人の生活が重なる場面では、必要経費と私的支出の境目が曖昧になりやすいのです。


    ■現金の引き出しは使途不明だと特に疑われやすい

    実務で最も疑われやすいのは、まとまった現金の引き出しがあるのに、使い道がはっきりしないケースです。

    通帳には出金記録が残っていても、領収書やメモがなく、
    「何のために使ったのか」
    「誰のための支出だったのか」
    が分からないと、他の相続人は不信感を持ちやすくなります。

    特に、亡くなる直前や直後に大きな額が動いていると、必要な支出だったのか、事実上の使い込みなのか、区別がつきにくくなります。
    そのため、現金管理は、少額の支出以上に慎重さが求められます。


    ■少額でも繰り返しあると不満が大きくなりやすい

    相続では、問題になるのは高額な支出だけとは限りません。

    数千円、数万円の支出でも、回数が多かったり、記録が曖昧だったりすると、
    「少しずつ勝手に使っていたのではないか」
    という印象を与えやすくなります。

    つまり、一つ一つは小さくても、積み重なることで不信感が大きくなるのです。


    ■中編まとめ

    ・葬儀費用は必要でも内容や金額によって問題になり得る
    ・生活費や家の維持費は私的支出との境目が曖昧になりやすい
    ・現金の引き出しは使途不明だと特に疑われやすい
    ・少額でも記録が曖昧な支出が積み重なると不信感が強まる

    遺産分割前の支出が問題になるかどうかは、金額の大小だけでは決まりません。
    何のために、誰のために、どのような根拠で使ったのかを説明できるかどうかが重要です。
    次回の後編では、こうした火種を大きくしないために、遺産分割前の支出をどう整理し、どう残しておくべきかを見ていきます。


    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・戸籍収集など相続手続きの初動支援
    ・相続人調査、相続関係説明図の作成
    ・遺産分割協議書作成支援
    ・相続開始後の預貯金や支出の整理支援
    ・必要に応じた弁護士、司法書士、税理士等との連携


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