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    前編では、相続人同士で話し合いがまとまっていても、遺産分割協議書が実務で使える形に整っていなければ、金融機関や法務局で受け付けてもらえず、やり直しにつながることを整理しました。

    では、実際にはどのような形式不備が起こりやすいのでしょうか。

    中編では、実務でよく見られる典型例を整理します。


    ■相続人が全員そろっていない

    まず多いのが、協議書に関与すべき相続人が全員入っていないケースです。

    たとえば、戸籍調査が不十分で相続人が漏れていた、代襲相続人の存在を見落としていた、前妻の子がいることを後から知った、といった場合です。

    遺産分割協議は相続人全員の合意が前提です。
    そのため、一人でも欠けていれば、どれだけ他の相続人が納得していても、その協議書は実務上使えなくなることがあります。

    つまり、内容以前に、誰が当事者なのかを確定できているかが出発点になります。


    ■財産の特定があいまい

    次によくあるのが、対象財産の書き方が不十分で、何を分けたのかがはっきりしないケースです。

    特に不動産では、
    「小樽市○○町の土地建物」
    という程度の記載では足りず、登記簿どおりの所在、地番、家屋番号などで特定する必要があります。

    預貯金でも、銀行名だけしか書いていない、支店や口座種別、口座番号が不明確、といった場合には、手続先で補正や作り直しを求められることがあります。

    相続では、当事者同士には分かっているつもりでも、第三者が見て一義的に特定できる書き方になっていなければ、不十分と判断されやすいのです。


    ■署名押印の形が整っていない

    協議書の内容が整っていても、署名押印の形で問題になることもあります。

    たとえば、押印が実印でない、印鑑証明書と氏名表記が一致しない、署名がなく記名だけになっている、ページのつながりが不明確、といったケースです。

    相続手続では、本人が本当に合意したのかを確認する意味で、署名押印の形式が重く見られます。
    そのため、軽い気持ちで済ませた記載方法が、後で大きな支障になることがあります。


    ■条件や文言があいまいで解釈が割れる

    さらに、文章の表現があいまいなために、内容が確定しないケースもあります。

    たとえば、
    「残りの財産は別途協議する」
    「不動産は適宜処理する」
    といった書き方では、何が決まっていて何が決まっていないのかが曖昧です。

    このような協議書は、その場では通じても、後から手続や解釈で問題になりやすくなります。
    協議書は“雰囲気で分かる文書”ではなく、後から見ても意味がぶれない文書であることが大切です。


    ■中編まとめ

    ・相続人が一人でも漏れていれば協議書は使えなくなりやすい
    ・不動産や預貯金は第三者に分かる形で特定する必要がある
    ・署名押印や印鑑証明書との整合も重要である
    ・文言があいまいだと後で解釈が割れ、手続が止まりやすい

    遺産分割協議書の形式不備は、ちょっとした書き漏れや認識不足から起こることが少なくありません。ですが、その影響は大きく、せっかくまとまった相続をやり直しに戻してしまうことがあります。次回の後編では、こうしたやり直しを防ぐために、協議書作成時にどのような点を意識すべきかを整理します。


    ■小樽つちや行政書士事務所でサポートできること

    ・戸籍収集など相続手続きの初動支援
    ・相続人調査、相続関係説明図の作成
    ・遺産分割協議書作成支援
    ・不動産や預貯金の手続を見据えた書類整理支援
    ・必要に応じた司法書士、税理士等との連携


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