「自分の死後に家族に迷惑をかけたくない」「スムーズに手続きを進めてほしい」――そう願う方々にとって、エンディングノートは非常に有用なツールです。これは、自分の「想い」と「情報」を整理し、家族に託すためのノートです。法的な効力を持つ遺言書**とは役割が異なりますが、併用することで、より包括的な「終活」が可能になります。
エンディングノートは、家族への情報提供やメッセージ伝達、自分の希望整理を目的としています。形式は自由ですが、法的な効力はありません。あくまでも「希望」や「情報」の伝達に留まります。
これに対し、遺言書(公正証書や自筆証書など)は民法で定められた厳格な要件を満たすことで、法的な効力を持ちます。財産の分け方を法的に確実に指定したい場合は、必ず遺言書を作成する必要があります。エンディングノートは、遺言書ではカバーできない「想い」や「手続きに必要な詳細情報」を補完するツールと理解しましょう。
コラム89で触れた「財産の探し方」の手がかりを具体的にまとめる場として活用すると、家族の負担は大きく減ります。
万全な終活のためには、この二つを役割分担して併用します。遺言書で「誰に何を」指定し、エンディングノートで「その財産はどこにあるか」などの補完情報と希望を伝達します。遺言書は単独で完結させ、エンディングノートは手続きのための補完情報として使いましょう。
ノートは常に最新の状態に見直し、保管場所を家族に伝えておくことが大切です。
当事務所では、エンディングノート作成による財産の棚卸しから、遺言書作成のアドバイス、原案作成まで、行政書士の範囲で丁寧にサポートします。終活は、残される家族への「思いやり」の形です。遺言書と併用することで、家族は迷うことなく、あなたの意思を尊重しながら手続きを進めることができるでしょう。まずは、あなたの状況をヒアリングし、抜け漏れのない整理を一緒に進めましょう。