相続欠格・廃除とは、相続人になるはずの人が、一定の場合に相続権を失う制度です。
- 相続欠格:民法891条。法律で定める重大行為があると当然に失権。
- 推定相続人の廃除:民法892条以下。被相続人への虐待・重大な侮辱・著しい非行がある場合に、家庭裁判所の審判で失権。
どちらも遺留分は認められません。
■ 相続欠格の主な類型(民法891条)
- 被相続人・他の相続人の殺害/未遂
- 詐欺・強迫で遺言を作らせる/撤回させる
- 遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿
裁判所手続を経なくても当然失権となりますが、事実認定を巡って立証が問題になることがあります。
■ 廃除の要件と手続(民法892~895条)
欠格ほど極端ではないが看過できない非行に対し、被相続人の意思で外す制度。
- 要件:虐待、重大な侮辱、著しい非行(DV、悪質な扶養義務懈怠など)。
- 方法:①被相続人が生前に申立て、②または遺言で廃除意思を表示し、遺言執行者が申立て。
- 復権:被相続人が許す意思を示せば取消(復権)可。
※申立書の作成・代理は弁護士の業務です。
■ 代襲相続との関係
欠格・廃除で親が相続できなくても、その子(孫)が代襲相続人になります。相続の流れが断絶しないようにする仕組みです。
■ 実務で注意したいポイント
- 証拠整理が重要(診断書・警察記録・SNSやメール、第三者の陳述メモ等を時系列で保全)。
- 遺言の活用:廃除を視野に入れるなら、遺言で意思と遺言執行者を明記。
- 遺留分争いの予防:失権者には遺留分がないため、他の相続人の取り分設計や二次相続も含めて総合設計を。
- 安全確保を最優先:暴力等が疑われる場合は、まず警察・医療・行政窓口へ。
■ 小樽つちや行政書士事務所でできること
当事務所は、事実関係の整理テンプレート(時系列・証拠リスト)の提供、相続関係説明図・財産目録の作成、遺言文案の整備、関係先への連絡文案などをサポートします。家庭裁判所の申立ては弁護士、登記は司法書士、税務は税理士と連携します。
該当の有無が曖昧な段階でも構いません。状況を丁寧に可視化し、法と手続に沿った安全な進め方をご提案します。