配偶者が相続した財産について、①配偶者の法定相続分または②1億6,000万円のいずれか多い額まで、相続税を実質ゼロ(税額を軽減)にできる制度です。配偶者の生活の安定を守るための大きな優遇で、多くのご家庭で適用可能性があります。
■ いつ“ゼロ”になる?
- 相続財産全体の評価額から基礎控除等を差し引き、配偶者が取得する部分が
「法定相続分または1億6,000万円以下」に収まると、配偶者分の相続税は0円になります。
- ただし“ゼロ”でも、申告が必要になるケースが多くあります(下記参照)。
■ 申告と手続の基本
- 原則、相続開始から10か月以内に申告して軽減を適用します。
- 申告時には遺産分割協議書や遺言等で、配偶者が実際に取得する財産を確定しておくのが安全。
- 期限までに分割がまとまらない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、後日分割成立後に更正の請求等で適用を受ける道があります。
■ よくある注意点
- 未分割のまま申告:軽減がいったん使えないことがあります。見込書の提出を忘れないこと。
- 二次相続の視点:一次で配偶者に偏らせると、次(配偶者死亡時)に税負担が重くなることも。生前贈与や生命保険、小規模宅地等の特例と総合設計を。
- 評価の見落とし:自宅・貸家・預金・有価証券・負債(住宅ローン等)を網羅的に評価しないと、最適配分がブレます。
- 名義と実態:名義預金や共有持分の扱いは要注意。後で否認されると軽減計画が崩れます。
- 申告が不要と思い込む:「軽減でゼロ=申告不要」ではありません。配偶者軽減や小規模宅地を使うために申告が必要なケースは多いです。
■ すすめ方のミニ手順
- 財産目録を作り(不動産・預金・証券・保険・負債)、概算評価を把握
- 配偶者の取得案を複数パターン検討(一次・二次相続の税負担を試算)
- 遺言/遺産分割協議書で取得を確定
- 10か月以内に申告(必要書類を添付)。未分割なら見込書を提出
- 分割成立後、必要に応じて更正の請求で軽減を確定
■ 小樽つちや行政書士事務所でできること
相続関係説明図・財産目録の作成、分割シナリオの整理、遺産分割協議書の作成支援を行い、税理士と連携して配偶者軽減・小規模宅地等の最適な適用を目指します。登記が必要な場合は司法書士と連携します。
「うちはゼロになる?」という初期のご相談でも大歓迎です。状況を丁寧に整理し、期限内に安全に進める段取りをご提案します。